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水痘と帯状疱疹の流行はしばらく続きそうです。   07/15/24

児童の間で水痘が流行しています。さらに家庭内での二次感染によって大人にも広がるケースがあります。

水痘ワクチンは本来、時間が経つと効果が薄れていくワクチンです。ワクチンを接種していても水痘にかかるブレイクスルー感染が起こります。ワクチン接種完了後1年経つと、年間で1000人中1.6人が、5年経つと1000人中9.0人が、8年経つと1000人中20.4人が、9年経過後には1000人中58.2人が、ワクチンを2回接種していても本物の水痘ウイルスに感染・発症することが知られています。
Loss of vaccine immunity to varicella

ヒトの免疫力は加齢に従い徐々に抑えられる方向に向かいます。色々な感染症の中でも特に水痘ウイルスに対する免疫力が加齢によって低下することはよく知られています。逆に、感染症に対する免疫は多くの感染源に頻繁に接触して刺激され続ける事によって賦活化されるものと考えられています。
Heterogeneity of memory T cells in aging

ほとんどの人々が、4年以上もの長い期間、水痘ウイルスを含めた多くのウイルスに接触する機会を失い、本物のウイルスによる免疫に対するブースター効果までもが失われた結果、水痘のブレイクスルー感染や帯状疱疹をきわめて発症しやすい状態になっています。特に児童・生徒がブレイクスルー感染発症する率は、上記の研究がなされた2007年よりもはるかに高まっているだろうと考えられます。

(現在、児童・生徒に対して水痘ワクチンの追加接種の必要性は推奨されていません。50歳以上の方には、シングリックス®︎の2回接種が推奨されています。)