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肺炎クラミジア  05/23/24

肺炎クラミジアは、クラミジア肺炎(他に、鳥から感染するオウム病クラミジアと、母体から新生児乳児に感染するトラコーマ・クラミジアがある)のうちの一つである。
ヒトに飛沫感染で伝播して主に急性呼吸器感染症を起こす。感染から症状発現までの潜伏期間は3〜4週間で、家庭内や施設内といった接触が密接な者の間で小規模に緩徐に広がる。

急性上気道炎、急性副鼻腔炎、急性気管支炎、慢性呼吸器疾患の感染増悪、および肺炎を引き起こす。
マイコプラズマ肺炎と異なり、小児のみならず、高齢者にも多い。他の細菌との重複感染も少なくない。感染既往を示すC. pneumoniae IgG 抗体保有率は小児期に急増し、成人で5〜6 割と高い。この抗体には感染防御の機能はなく、抗体保有者も何度でも感染し発症し得る。

主な症状は、乾いた咳嗽、長引く激しい咳であるが、無症候感染や喉の痛みや鼻汁のみの場合もある。特徴的な症状に乏しいが、咳嗽に嗄声(声が出ない、声がかすれる)を伴うときは肺炎クラミジアを想起したい。肺炎になると喀痰を伴うこともある。38 ℃以上の高熱を呈する症例はあまり多くない。発生動向調査によれば、女性より男性に多い。
診断に至らないことがとても多く、肺炎になっても確定診断されずに異型肺炎として治療されることが多い。検査は、血清中抗体価測定法がもっぱら利用される。
テトラサイクリン(妊娠中期〜後期は禁忌)が最も有効であるが、マクロライド、ニューキノロンも使用される。

4月以降、当院で複数例確認されている長引く咳の原因菌です。