今年は、IgA血管炎がかつてないほど多く見受けられています。IgA血管炎は典型的な場合、両すねに赤くて硬い発疹がたくさん出てくる病気です。
パンデミック時の非薬物的介入(マスク着用、手洗い、ソーシャルディスタンスなど)によって呼吸器感染症の流行が抑制されたことにより、IgA血管炎の発症率が53.6%も大幅に減少し、介入緩和後、発症率が37.2%増加したことが報告されています。
特に小児のIgA血管炎の発症は呼吸器感染症と密接な関係があり、その流行時期と一致していることが示されています。呼吸器感染症の少ない夏はあまり見られないが、秋以降徐々に増え始め、冬〜特に免疫が過剰に反応しやすくなる春にかけて多い。
IgA血管炎の発症の37.3%に肺炎球菌が、25.6%に溶連菌が関連していたばかりでなく、驚くべきことに、その17.1%の発症にライノウイルスが関連していたことです。最近まで非常に多かった鼻炎・気管支炎を伴う普通の風邪が増えると、IgA血管炎が増えるのです。
川崎病と同様に、IgA血管炎は免疫関連性の小血管炎であり、特に小児の場合は、上気道感染などの感染症が引き金になり、ウイルス感染がIgAの過剰産生や免疫複合体の沈着を誘導し、発症の引き金になるということです。
2025.05.25