IgA血管炎(紫斑病)は、多くの場合軽症で自然軽快する疾患ですが、一部では腎障害や消化管出血、関節症状を伴うため、外来での観察が可能かどうかは病状により判断されます。
外来観察可能なケース(軽症)
全身状態良好 (発熱、脱水、意識障害などの全身症状がない)
紫斑のみ/軽度の関節痛 (下肢に典型的な紫斑が出るが日常生活に支障なし)
腹部症状が軽微 (腹痛があっても軽度で、嘔吐・下血・腸重積の兆候がない)
腎症状なし/軽度 (尿検査で蛋白尿・血尿が軽度またはなし)
家族の理解とフォロー体制がある (自宅で経過観察ができる環境が整っている)
入院を考慮すべきケース
腹部症状が強い(強い腹痛、嘔吐、下血、腸重積の疑い(触診で右下腹部圧痛や腫瘤))
腎症状あり (持続的な蛋白尿、血尿、または血圧上昇)
皮疹の壊死性変化 (紫斑が水疱化・壊死傾向あり、広範囲・痛みを伴う)
関節症状が高度 (歩行困難などの日常生活制限を伴う関節炎)
全身状態不良 (発熱・ぐったりしている)
小児(主に3〜10歳)の多くは通常数週間で自然軽快し、重症化は稀であるが、成人では腎症のリスクが高く、慢性腎炎や腎不全に進展する可能性もある。免疫抑制治療の積極的導入が検討される場合もある。(腎障害は、発疹出現から 数日〜数週間後、尿蛋白・血尿、時にネフローゼ症候群や急性腎炎症状(浮腫、高血圧)として起きる。)
[腎障害の発症率]:小児 約20–40%(多くは軽度) / 成人 約40–60% [ネフローゼ症候群の合併率]:小児<10% / 成人15–30% [RPGN化の頻度]:小児 稀(<5%)/ 成人 10–20%前後 [完全寛解率]:小児 約85–90%(通常予後良好) / 成人 約50–60%(腎障害が残ることあり) [慢性腎不全への進行率]:小児<5%(長期)/ 成人 10–30%(10年で) [ステロイド・免疫抑制薬使用率]:小児 少ない / 成人 高い [フォローアップ期間]: 小児 3〜6か月程度(尿異常持続なら長期) / 成人 数年単位の腎機能フォローが必要