ユニセフによる、経済協力開発機構(OECD)および欧州連合(EU)加盟43カ国の調査によると、日本の子どもの精神的な健康度は32位(2020年は37位)、それに対して身体的な健康度は20年に引き続き1位でした(日経新聞)。普段からたくさんの子ども達と接していて観察されているものと合致した結果でした。診察室で自分を言葉ではっきり聞こえる声で表現できない子どもが、10年20年前に比べて非常に増えてきています。
小学校入学を境にして、それまで無邪気だった子ども達は、大きくなるにつれ、他人に迷惑をかけてはならないという倫理的・道徳的強迫観念、手足の先までがんじがらめにされているような、目に見えない規則・社会的掟、他人や社会への遠慮、言葉による自己表現の抑制、世間からの心理的制裁圧力、自己感情の抑制、といった、パンデミック以降特に強まった心理社会的圧力の下で、しだいに自己を鎧で覆い、自己の内側へ引きこもらざるを得なくなっていく姿を毎日見せてくれています。
2025.05.15