現在、マイコプラズマ肺炎1000件に対してクラミジア肺炎3件の割合で検出されています。クラミジア肺炎の検査が行われることは現場ではかなり少ないので、実際にはもっと多いはずです。特に胸部X線像で、気管支肺炎パターンまたは網状影が認められた場合で、かつ、比較的たくさん行われているマイコプラズマの検査が陰性の場合には、その可能性が高まります。
肺炎クラミジアによる疾患としては、急性上気道炎、急性副鼻腔炎、急性気管支炎、また慢性閉塞性肺疾患(COPD)を主とする慢性呼吸器疾患の感染増悪、および肺炎である。特に副鼻腔炎はライノウイルスの流行だけでは説明がつかないほど最近非常に多く見られています。(副鼻腔炎に対して一々抗体検査をするわけにはいかないので原因は不明ですが)
肺炎クラミジアは 市中肺炎の約1 割に関与するが、発症年齢がマイコプラズマ肺炎と異なり、小児のみならず、高齢者にも多い。他の細菌との重複感染も少なくない。家族内感染や集団内流行もしばしば見られ、集団発生は小児のみならず高齢者施設でも報告されている。感染既往を示すIgG 抗体保有率は小児期に急増し、成人で5〜6 割と高い。この抗体には感染防御の機能はなく、抗体保有者も何度でも感染し発症し得る。感染から症状発現までの潜伏期間は3〜4 週間で、接触が密接な者の間で小規模に緩徐に広がる。肺炎発症の機序としては、上気道に初感染し下降して肺炎に至るものが主とされる。
胸部X線陰影の分布は主として中下肺野に多く、複数の部位に認めることもある。小葉中心性粒状影や細葉性のすりガラス影などの気管支肺炎パターンが基本形であり、他の病原体に比し網状影や気管支拡張の頻度が高いことが特徴的であるとされるが、実際には非特異的であり、間質性、網状結節性、気管支血管束肥厚、無気肺など、さまざまなX線像パターンを伴う両側性の過膨張およびびまん性浸潤が認められる。進行すると非区域性の気腔性肺炎パターンもとりうる。胸水貯留および肺葉浸潤は認めにくい。
国立感染症研究所
国立感染症研究所IDWR
American Journal of Roentgenology
日本内科学会誌