気管支や肺の中は、完全無菌状態でないのが普通であることがわかってきています。腸内細菌が住んでいる腸のように、気管支肺の中にも細菌の集落(細菌叢)がバイオフィルムを作って、気管支の繊毛細胞や免疫細胞群との間で、通常は均衡の取れた状態を保っているのではないかと考えられています。しかし、生まれつき免疫力が弱かったり、気管支壁の細胞の繊毛の働きが悪かったり、風邪をこじらせて気管支壁細胞の回復が遅れてしまったりすると、細菌叢との力関係が悪くなり、炎症が慢性化してしまう状態に陥る可能性があります。
成人のPBBは、先行する呼吸器ウイルス感染に罹患することで持続性の咳を発症する。咳の罹病期間は1.4〜8.5ヶ月(中央値3ヶ月)であり、多くは8週間以上持続していました。痰のとても多い咳嗽、(多くの場合、特に病原体を検出できないにも関わらず)黄色の痰(好中球性の気道炎症による結果であり、また喀痰リンパ球は増加する)、喉に痰が引っかかってなかなか取れない感覚が特徴的な症状である。これらの症状は臨床的診断に有用であるとされている。
一方、喘息とは異なり、ほとんど喘鳴を認めず、季節性もない。胸部レントゲン、CT上、気管支拡張症を認めない。もちろん、喘息、COPD、喫煙といった他の慢性咳嗽の原因が認められないことによって定義される。
成人PBB患者の大半は女性であり(気管支拡張症や慢性咳嗽と同様に、咳嗽反射感受性の性差があることと関連している)、中年優位(40代後半〜60代後半)であった。
成人PBBのうち28%はその後、放射線学的な気管支拡張症を認めたとする報告もあり、PBBと気管支拡張症は、気管支内感染と炎症という同じ基礎過程の異なる部分を表しているのかもしれないと考えられている。
Clinical characteristics of protracted bacterial bronchitis in adults
Persistent bacterial bronchitis in adults – a precursor to bronchiectasis?