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肺のマイクロバイオーム(3)         07/25/25

ウイルス群集(ヴァイローム、ウイルスーム)
ヒトでは、ウイルス群集を構成するウイルスの数は身体の部位によって異なります。腸内容物には1gあたり109個のウイルス粒子、口腔咽頭、鼻腔、咽頭、唾液には1mlあたり108個のウイルス粒子が存在します。一方、肺のウイルス粒子は腸や口腔咽頭よりもずっと少ない。

健常なヒトの呼吸器系ウイルス群集は、パラミクソウイルス科、ピコルナウイルス科、およびオルソミクソウイルス科という主要な3グループから成ります。数は少ないが、アルファパピローマウイルス、KIポリオマウイルス、WUポリオマウイルス、およびアデノウイルス科のマストアデノウイルスも検出されます。健康な呼吸器系ウイルス叢の構成は多様・複雑というより単純で偏っています。例えば、健康な肺のウイルス叢は主にアナポウイルス科のグループが占め、まれにヘルペスウイルス、パピローマウイルス、レトロウイルスなどが検出されます。

このような多様な真核生物ウイルスの長期潜伏状態を通じて、体はIFN-γを継続的に産生し、マクロファージを活性化します。基礎免疫状態が上昇することにより細菌感染を制御することができるように成り、宿主にとって有利な環境を提供してくれている可能性があります。

肺の中には、ファージが豊富に存在し、そのファージの群集は宿主内の細菌の数に応じて変化します。ヒトの呼吸器系には、19種類のファージからなる常在コア群が存在します。ファージは肺という極めて限られた生存環境内において細菌の生存と繁殖を助ける役割を果たしています。

Lung microbiome: new insights into the pathogenesis of respiratory diseases: NATURE