1.咳受容体(求心性感覚神経終末)は気道上皮内に分布
咳受容体は気道上皮内に分布しており、杯細胞、線毛上皮細胞と密接に接触している。そのため、咳受容体はムチン分泌など上皮細胞由来メディエーターの影響を受けやすくなっている。気道上皮細胞、特に杯細胞の異常や炎症による再構築が、求心性神経終末(咳受容体)の感作亢進を介して、空気中の刺激物質に対する過敏な咳反射を引き起こす基盤になる。
2.気道上皮の「再構築(remodeling)」が感作の基盤
喘息、COPD、ウイルス後咳嗽などで共通するのが「上皮修復の異常」である。気道上皮杯細胞の過形成、基底膜肥厚が引き起こされる。炎症に伴って増殖した杯細胞・上皮細胞からの放出物質が知覚神経の咳受容体発現や感受性を増強する。この過程によって生じた上皮バリア機能の破綻は、咳受容体の反応閾値を低下させるため、様々な刺激物質に対する過敏な咳反射を引き起こすことになる。
3.吸入ステロイドは、気道上皮の異常修復を抑制し、正常なremodelingを促す
そして、もっともエビデンスが豊富な「気道上皮修復調節薬」が吸入ステロイドである。そもそもの炎症を引き起こすメディエーターを抑制し、杯細胞過形成を抑え、上皮細胞のバリア機能回復を促し、ムチン過剰発現を抑制する。喘息やCOPDでは吸入ステロイドがリモデリング予防の中心になる。
Transient receptor potential cation channel, subfamily V, member 4 and airway sensory afferent activation: Role of adenosine triphosphate
Cough and airway disease: The role of ion channels