咳受容体は末梢気道「肺末梢(小気道、肺胞)」にもあるが、特に機械受容性咳受容体 (mechanical rapidly adapting receptors, RARs) と呼ばれる高速伝導で爆発的・即時的な防御咳反射を引き起こす咳受容体は、喉頭、気管、主気管支などの中枢気道に特に高密度に分布し、密度・感受性・即時性・咳反射誘発能は「喉頭から中枢気道に最も多く、最も敏感に分布」している。つまり、喉頭>気管>主気管支>末梢気道の順に咳受容体の密度と咳反射感受性が高い。
喉頭は、食べ物などの異物が侵入した場合、その喉頭刺激で強い咳反射を誘発して、肺を守るために最も敏感な防御機構として作用している。
喉頭には、高速で鋭敏な反射を生む咳反射の「最強のスイッチ」ともいわれるほど咳受容体の密度が高い。そのため、喉頭炎や上気道感染で「刺激性の鋭い咳」が起こりやすい。
末梢気道にもC線維を伝わる化学的咳受容体が分布し、炎症性メディエーターなどに反応し、喘息やCOPDで見られる、ゆっくりとした反射による長引く咳を生みだす。
風邪ウイルス感染によって一度崩壊した気道上皮バリアが修復・再構築されるまでの間、末梢気道からの咳嗽反射よりも、喉頭・中枢気道からの強い咳嗽反射の方がより症状を顕在化し、自他ともに非常に不快な遷延性咳嗽が引き起こされる主な病変部位になるのだと考えられる。
2025.07.10