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なぜIgAが悪さするのか?         05/25/25

【そもそもIgA抗体とは?】
IgA(免疫グロブリンA)は、粘膜免疫を担う主要な抗体です。上気道、消化管、泌尿生殖器などの粘膜表面で外敵(病原体)を中和する目的で作られます。IgAは主に呼吸器や消化管の粘膜感染に対する免疫応答の役割を担っています。

【なぜIgAが病気の原因になるのか?】
ウイルスなどの感染により大量に産生されたIgAは自己抗原や細胞外マトリクス(例:ラミニン)と結合しやすく、IgA免疫複合体が作られやすい。それは小血管に沈着しやすく、同時に補体活性化や好中球の活性化を引き起こし、血管炎を発症させる。
IgA血管炎で作られるIgAは、通常のIgA1とは異なり、糖鎖修飾異常(O-ガラクトース欠損IgA1)を持つ場合があります。これは、免疫複合体を形成しやすく、クリアランスが悪く、血中に長く残り、腎臓のメサンギウム細胞や血管内皮に沈着しやすいという性質を持ち、腎障害や全身性の血管炎を引き起こす。このような異常なIgAの増加を引き起こしやすい感染症として、溶連菌では扁桃腺で、肺炎球菌では気道の粘膜表面で、ライノウイルスでは鼻腔粘膜表面で、ノロウイルスやロタウイルスでは腸管粘膜表面でそれぞれIgA応答による免疫複合体が形成されます。

IgA Nephropathy: Significance of IgA1-Containing Immune Complexes in Clinical Settings:Journal of Clinical Medicine