TOPICS

咳反射と咽頭反射は同時に起こりやすい。 03/09/25

咳反射と咽頭反射(嗚咽反射)は解剖学的・神経生理学的に密接に関連しているため同時に起きやすいので、咳に伴う嘔吐は症状として一括りにすることができます。一方、嘔吐は咳以外にも、脳・内耳前庭系・消化管・心臓などありとあらゆる異常が原因になるため、「吐いた」原因を見極める必要があります。

1. 咽頭反射(Gag reflex)と咳反射(Cough reflex)はいずれも、迷走神経(Vagus nerve, CN X)と舌咽神経(Glossopharyngeal nerve, CN IX)を介して制御されており、経路を共有しています。
Gag reflex(咽頭反射)
主な機能: 口蓋、咽頭後壁、舌根などが刺激されると、喉を締める動き(咽頭収縮)を引き起こし、異物の誤嚥を防ぐ。
Cough reflex(咳反射)
主な機能: 気道内の異物を排除するため、急激な呼気を伴う咳を引き起こす。
いずれも、迷走神経(CN X)が両方の反射に関与しているため、相互に影響を与えやすい。

2. 解剖学的な刺激部位の重なり
Gag reflexは口蓋、咽頭後壁、舌根などを刺激することで誘発される。
Cough reflexは喉頭(特に声門周囲)、気管、気管支の刺激で起こる。
喉頭蓋(epiglottis)や咽頭下部の刺激は両方の反射を引き起こす可能性がある。
例えば、異物が口腔から咽頭を通って気道に入ろうとすると、まずGag reflexが起こり、それが不十分な場合にはCough reflexが続発する。

3. 中枢神経系での統合
両方の反射は延髄にある神経核(孤束核)で感覚入力が統合され、適切な反射を引き起こす。反射経路が隣接しているため、強い刺激が入ると両方の反射が同時に誘発されることがある。

4. 臨床的な例
異物が喉の奥(咽頭下部や喉頭)に接触すると、「えずき」と「咳」が同時に起こる。
喉頭の炎症や誤嚥では、咳とともに嘔吐感を感じることがある。
逆に、神経障害(例: 迷走神経障害、延髄梗塞)では、両方の反射が低下または消失することがある。

Gag reflexとCough reflexが同時に起こるのは、両者が迷走神経を共有し、延髄の中枢で統合され、刺激部位が重なっているためです。特に、咽頭下部や喉頭の刺激が両方の反射を誘発しやすく、異物や炎症によって同時に起こることがあります。

Physiology, Gag Reflex
The effect of stimulation and unloading of baroreceptors on cough in experimental conditions