コデインは依存性、薬物乱用を引き起こしやすいという問題のある咳止め薬ですが、実際の臨床では、止まらなくなった咳反射のサーキットを断ち切ることによって「しつこい咳」「慢性咳嗽」を治癒方向に導き、治療の切り札になることもしばしばです。
1.リン酸コデインは、延髄の咳中枢に直接作用し、咳反射の閾値を上昇させる。また、オピオイド受容体(特に μオピオイド受容体:MOR)に結合し、神経活動を抑制し、これにより、求心性入力の伝達が減少し、咳反射が起こりにくくなる。
2. 一方、リン酸コデイン自体は、末梢の咳レセプター(感覚受容体)には直接作用しない。ただし、中枢性の咳中枢抑制作用を介して、求心性の興奮伝達を減弱させることで、間接的に咳レセプターの感受性を低下させる可能性がある。
3. その他の影響
鎮痛作用(μオピオイド受容体を介した痛みの伝達抑制)、軽度の呼吸抑制(高用量で延髄の呼吸中枢に影響)、依存性・耐性形成のリスク(長期使用で問題となる。市販薬の長期乱用は御法度です。)
このように、
リン酸コデインは主に延髄の咳中枢に作用し、オピオイド受容体を介して咳反射を抑制します。末梢の咳レセプターへの直接作用は少ないものの、中枢の抑制効果を通じて間接的に影響を与える可能性があります。