麻疹(はしか)の世界的な大流行は、きわめて深刻な合併症や死亡のリスクを高めている。
米国、英国、EU諸国で、感染拡大が止まりません。米国では、カリフォルニア州、ジョージア州、ミズーリ州、ニュージャージー州、ペンシルバニア州、ワシントン州、オハイオ州、メリーランド州、ミネソタ州、フロリダ州で麻疹患者が報告されている。海外からの渡航者からの流入だとされている。
麻疹は非常に感染力が強いので、1人の患者でもアウトブレイクとみなされる。一人の麻疹患者は、ワクチンや自然感染による免疫を持たない人12人から18人に感染させる。それに対して、コロナでは約2人である。麻疹ワクチンは2回の接種で97%の小児を予防するが、ウイルスは空気感染(エアロゾル感染)で急速に広がるため、感染拡大を食い止めるためには、集団の95%以上が2回のワクチン接種を完了している必要がある。
米国の小児では、2022-23年は93%の接種率に留まり、日本でも、第1期が、2021年度93%、2022年度95%、第2期が、2021年度93%、2022年度92% にすぎない。
麻疹にかかった人は、皮疹ができる4日前から4日後までの9日間ウイルスを撒き散らす可能性がある。感染者が部屋を出てから2時間後まで感染する可能性がある。
10,000人の子供が麻疹に感染すると、2,000人(20%)が入院し、1,000人(10%)が永続的な難聴の可能性のある耳の感染症を発症し、500人(5%)が肺炎を発症し、10~30人(0.1~0.3%)が死亡する。 麻疹患者は、肺炎などの二次的な細菌感染症にかかりやすく、麻疹患者の最も一般的な死因の1つである。
麻疹の壊滅的な長期合併症である亜急性硬化性全脳炎は、記憶喪失、過敏性、運動障害、痙攣、失明などを引き起こすが、これらは麻疹から回復して6〜8年後に発症することがある。抗てんかん薬で症状が和らぐこともあるが、病気を治すことはできない。最近の研究によると、この合併症は以前考えられていたよりも一般的であり、麻疹にかかった幼児の約600人に1人(0.16%)が発症している。
日本でも、パンデミック時のワクチン接種率の低下とインバウンドの増加という条件は同じであり、もうじき国内でも流行し始めることが予測されます。未接種のお子さんには、できるだけ早い接種が求められます。