急性細気管支炎のほとんどは、乳児にみられ、ウイルスまたはマイコプラズマやクラミドフィラなどの非ウイルス性感染性病原体が上気道感染から、咳嗽、頻呼吸、喘鳴などの下気道症状へと進行する小気道疾患である。
思春期および成人期における急性細気管支炎は非常にまれであり、咳嗽と呼吸困難を伴うものの、病態不明瞭な疾患として発症する。思春期や成人で臨床症状が現れるには、まず小気道が広範囲に侵されている必要がある。
細気管支炎は直径2mm未満の小気道に発生し、収縮性/閉塞性細気管支炎と細胞性細気管支炎に分けられる。後者は炎症細胞の存在を特徴とし、病理組織学的に(1)感染性細気管支炎、(2)誤嚥性細気管支炎、(3)呼吸性細気管支炎(例:喫煙)、(4)過敏性肺炎(アレルギー性細気管支炎)、(5)濾胞性細気管支炎(自己免疫性にみられる)、(6)びまん性汎細気管支炎に分類される。
胸部X線写真では、気管支/細気管支壁の肥厚や結節性肺パターンを検出するのは難しく、細気管支疾患(BD)は見逃されやすい。そのため、高解像度CT(HR-CT)が必要となる。異常細気管支は、HR-CTで小葉中心性結節、樹状突起状陰影、気管支/細気管支壁肥厚といった直接的な所見、びまん性かつ均一に散在するtree-in-budパターンが認められる。あるいはエアートラッピングによるモザイク状減衰といった間接的な所見として検出される。急性期BDはしばしば見落とされため、BD患者の多くは亜急性または慢性の病態を呈する。
このケーススタディーでは、重篤な臨床症状を呈し、広範なtree-in-budパターンを呈する特異な所見を示した、急性びまん性汎細気管支炎の青年期患者4名が報告されている。原因は、水パイプ、喫煙タバコ、カンナビノイドによる吸入障害、または青少年・若年成人の間で発生している電子タバコまたはベイプによる製品使用関連肺障害(EVALI)であった。電子タバコは、ニコチンに加えて、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはカンナビジオール(CBD)および多くの香料または補助成分を送達するために使用される可能性があるが、これらは厳しく規制されていない。2019年秋から2020年2月までの間だけで、米国では入院を必要とするEVALIが2,807件、死亡者が68人報告されている。 曝露関連の非感染性びまん性実質障害に分類される急性びまん性汎細気管支炎であった。
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