経気道的感染性肺炎は、肺胞性肺炎と気管支肺炎とに大別される。
肺胞性肺炎は、
起炎病原体が経気道的に肺胞へ到達し、炎症性浮腫により肺胞腔内に大量の滲出液が産生されることで生じる。滲出液は肺胞間側副路を介して拡大し、非区域性の分布を示す。1つの肺葉全体に広がったものを、特に大葉性肺炎と呼ぶ。単純X線写真で、内部に気管支透過像を伴う均一で境界明瞭な浸潤影(滲出液が肺胞腔内に充満した領域)と、その周囲のすりガラス影(滲出液が乏しい領域)が特徴的である。
起炎病原体としては、肺炎球菌、肺炎桿菌が多い。
気管支肺炎は、
起炎病原体が経気道的に吸引された後、細気管支の気道粘膜が傷害され、周囲の肺胞領域に炎症細胞が広がることで生じる。滲出液は少ないため、細気管支周囲に病変が限局し、区域性や小葉性の分布を示す。単純X線写真では、多発性、斑状の陰影がみられる。
起炎病原体としては、マイコプラズマ、インフルエンザ桿菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などが多い。
マイコプラズマでは、線毛を有する気道上皮への親和性が高く、終末細気管支までの気管支や、気道周囲の肺胞(気管支側枝領域)に炎症をきたす。気管支壁肥厚及び小葉中心性のすりガラス影、粒状影、それらが融合した小葉大の陰影がみられることが多い。若年者では浸潤影が優位な肺胞性肺炎パターンを示すこともある。
レジオネラ肺炎は、初期には気管支肺炎パターンを呈するが、急速に多葉性・両側性へ拡大し、肺胞性肺炎に移行する。
「日本医師会雑誌 第153巻・特別号(1)画像検査を使いこなす」より