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喘息の現在の分類法(2型喘息と非2型喘息)〜喘息は似て非なる喘息っぽい病態の集合体   09/04/25

「喘息」という病名を聞いて一般に想起されるイメージは、ダニなどに対する特異的IgE(と過剰なTヘルパー細胞2型(Th2)反応)によって気道過敏性(咳)や気道閉塞(喘鳴)が引き起こされるという単一疾患のものである。しかし、例えば、乳幼児喘息と高齢者喘息だけをとってみても、喘鳴や咳など臨床症状が類似しているにも関わらず、同じ治療に対して全く異なる反応を示すことがしばしばあり、専門的には別々の病気と捉えられている。それは、細胞・分子レベルで異なる病態生理学的メカニズムが働いているからであり、現在、「喘息」は、若年性アトピー性喘息、肥満中年型喘息、高齢者喘息など複数の多様な型から成る集合を包括するアンブレラ診断名とされている。

30年以上前に、獲得免疫系の古典的なCD4+T細胞サブセット(Th1およびTh2サブポピュレーション)が発見されて以来、Th2細胞が好酸球性気道炎症の主な駆動因子であることが認識された結果、喘息はTh2高(好酸球性)とTh2低(非好酸球性)という2つの型に分けられた。しかし、近年、自然免疫系のグループ2自然リンパ球(ILC2)も気道における2型免疫応答の増強において重要な役割を果たしていることがわかってきて、自然免疫と獲得免疫が複雑に相互に関連していることがますます認識されている。Th2細胞とILC2は共に2型免疫の主要な制御因子であり、2型サイトカインの産生を誘導する。現在、Th2型炎症は2型炎症とも呼ばれている。このような免疫病態に基づいて、喘息は主に2型喘息と非2型喘息の2つに分けられるようになっている。

Understanding Asthma Phenotypes, Endotypes, and Mechanisms of Disease