遷延性細菌性気管支炎(PBB)の小児の細菌バイオーム量、好中球の割合、IL-8、およびIL-1βは、顕著に高い。PBB小児では、限定された菌種ではなく複数種からなる細菌叢で構成されています。プレボテラ(Prevotella)、インフルエンザ菌(H. influenzae)、肺炎球菌(S. pneumoniae)、モラクセラ(M. catarrhalis)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)が増加していました。
PBB患児の好中球性炎症は、単一の病原種に起因するものではありません。Prevotella関連気管支炎では、病原菌でない共生細菌もPBB炎症の発症に寄与している可能性があります。これは、培養で呼吸器病原菌が検出されない小児の慢性咳嗽と下気道炎症が、明らかに抗生物質療法に反応するという経験的事実を裏付けます。また、肺のマイクロバイオームは気管支炎の予後と強く関連しています。PBB小児において、気道感染におけるH. influenzaeによる寄与が低い場合は、気管支拡張剤に対する反応が7倍良好であることがわかっています。また、急性呼吸器感染症後1カ月以上咳が続くPBB小児では、Neisseria、Streptococcus、M. catarrhalisの寄与が大きいことが示唆されています。
一方、PBBは、細菌叢によって気道内細菌叢バイオフィルムが形成され、それによって慢性的な炎症が持続しているのではないかとも考えられています。非定型インフルエンザ菌Haemophilus influenzae(NTHi)は、好中球の網状構造内のDNAなどの物質を、栄養源としてだけでなくバイオフィルムの材料として利用し、炎症によって局所環境に放出された物質をも自らの栄養素として利用している。さらに誘導された宿主炎症反応は、肺炎球菌などの他の潜在的な病原体や正常な共生細菌とNTHiが競合するのを助けることになり、さらに気道内の多様性が低下することになる。そこにウイルス感染が生じると、バイオフィルム内の微生物叢が剥離・放出され、単なる風邪症状では済まずに強化された炎症反応が生じることで、急性憎悪と持続炎症をもたらされます。
気管気管支炎のマイクロバイオームは、高い微生物多様性が特徴的です。PseudomonasとStaphylococcusが優勢であり、Actinomycetes、Firmicutes、Ascomycetes、Bacteroidetes、Tenericutesなどの多様性があります。気管気管支炎の炎症は、P. aeruginosaなどの優勢な細菌叢による炎症性サイトカイン刺激と同時に、Lactobacillusなどの抗炎症性細菌叢の減少によってもたらされています。同時に、増加した細菌叢の一部、BacteroidesとClostridiumは逆に炎症を抑える免疫反応を誘導しています。
Persistent and Recurrent Bacterial Bronchitis—A Paradigm Shift in Our Understanding of Chronic Respiratory Disease: Frontiers in Pediatrics
Lung microbiome: new insights into the pathogenesis of respiratory diseases: NATURE