- エリスリトールという人工甘味料と味噌醤油によるアレルギー
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エリスリトールをはじめとした糖アルコール(ガムに入っているキシリトール、りんごやプルーンに入っているソルビトール)は天然素材から人工的に作られた糖質系甘味料です。エリスリトールは、ブドウ糖を酵母発酵させて作られます。エリスリトールはまた、メロン、ブドウ、ナシなどの果実のほか、ワインや日本酒、しょうゆ、みそ、チーズなどの発酵食品に元々含まれている天然成分です。エリスリトールは糖アルコールのなかでも唯一カロリーゼロと表示できる甘味料で、清涼飲料水、ゼリーなどの菓子類や菓子パンなどによく添加されています。分子量が小さいため、比較的アレルギー反応を起こしにくいのですが、時に経口摂取によるアレルギーを引き起こします。エリスリトールは天然の食材に含まれているために、食品添加物ではなく食品扱いされており、食品表示情報が省略されていることも多い。そのため、完全には摂取回避は難しい。また、天然の食品にも含まれているが、アレルギーを起こした人の多くは、エリスリトールを含む天然食品で症状を起こしたことがなく、通常は摂取を回避する必要はありません。
- ラテックス-フルーツ症候群
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ある歯科衛生士の方が、仕事で手袋をすると手が荒れて困ると言って受診しました。お話を聞くと、バナナとキウイを食べると喉が痒くなるとのことでした。
ラテックスアレルギーのうち30〜50%は、バナナ、アボカド、キウイフルーツなどの果物アレルギーがあります。逆に、そういう果物アレルギーがある人の11%にラテックスゴムアレルギーがあると推定されています。これらの果物の成分が、ラテックスの成分と構造がとても似ているために起こります。交差反応と言います。ラテックスと交差反応を起こしやすい食物は、
主に、アボカド、クリ、バナナ、キウイフルーツ、その他に、リンゴ、にんじん、セロリ、メロン、じゃがいも、トマト、イチジク、パパイヤ、マンゴー、パイナップル、もも などがあります。 - パンケーキ症候群(経口ダニアナフィラキシー)
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お好み焼きやホットケーキを食べた後に全身性アレルギー症状を起こすが、原因が食材の小麦ではなく、その食品に混入しているダニに対するアレルギー反応による。
家庭用のお好み焼き粉、ケーキミックス粉などを開封後、常温で数ヶ月放置し、粉中でダニが繁殖した場合、これを食べた際にアナフィラキシーを起こす。
お好み焼き粉で起こることが多い。 元々吸入性のダニアレルギーを持っていて、年中アレルギー性鼻炎や喘息を持っている人に起こる。
小麦粉、お好み焼き粉などは開封後、なるべく早めに使い切るようにした方が良いでしょう。また、保存する時には、密閉した容器に入れて、できれば冷蔵庫内で保存する方が安全である。外食では古い粉が使用されることは極めて稀なため、この病気が発生した報告はない。小麦アレルギーではないため、小麦を制限する必要はない。 - 65歳以上肺炎球菌ワクチンの最新の接種方法
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インフルエンザで起こる肺炎の6〜7割は肺炎球菌によるものといわれています。23価肺炎球菌ワクチンだけが、65歳以上成人の定期接種となっていますが、肺炎球菌に対する免疫を強固にするために、15価のワクチンを併用することがグローバルスタンダードです。(これまでは13価のワクチンを使っていましたが、15価が接種できるようになりました。国外ではすでに20価接種が標準です。)
成人用肺炎球菌ワクチンの推奨接種スケジュール
①(もっとも理想的な接種方法)バクニュバンス15価(自費)→1年以上→ニューモバックス23価(助成のある定期接種または自費)
②(すでに接種を済ませている場合)ニューモバックス23価(助成のある定期接種または自費)→1年以上→バクニュバンス15価(自費)→1年~4年以内→ニューモバックス23価(自費)
③(最低でも)ニューモバックス23価(助成のある定期接種)→5年以上→ニューモバックス23価(自費) - 新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症
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新生児や0歳児に、主に牛乳が原因で嘔吐、血便、下痢といったおなかの症状が起きるアレルギーです。最近は母乳の子が多いため、ミルクによる消化管アレルギーよりも、離乳食開始以降の卵黄による消化管アレルギーが増えています。当院でも直近4〜5ヶ月以内に、卵黄によるこの消化管アレルギーの子を二人経験しています。いずれの場合も、少量の卵黄を食べた後すぐにではなく、3〜4時間経ってから嘔吐するということが繰り返されました。血液検査ではむしろ反応が出ないケースが多いことと、通常の食物アレルギーのように口や顔が腫れることがないために、気づかれにくいアレルギーです。ただし、1歳で半分が、2歳で9割が良くなるので、ずっと食べられないわけではありません。
- 納豆アレルギー
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納豆を食べてから半日後(5〜14時間)後に、じんましん、息苦しさ、腹痛、意識障害が起きる。夜間から早朝の原因不明のアナフィラキシーの場合は納豆アレルギーの可能性を考える必要がある。20〜50歳代男性、特にサーファーに多い。クラゲに繰り返し刺されることでクラゲと納豆に共通する物質に対するアレルギーが出来上がる。納豆アレルギーの血液検査はない。納豆の他に、ポリガンマグルタミン酸、ポリグルタミン酸、γ-PGA、納豆菌ガムなどと成分表示された食品や化粧品、医薬品を避ける必要がある。
- ペットを飼っている人に起きる食物アレルギー
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1. pork-cat(豚猫)症候群
猫アレルギーの人の1~3%にあると推定されている。ネコ、イヌ、ハムスターといったペットを飼っている人で、豚肉、牛肉、馬肉を食べて1時間以内に、口の違和感、じんましん、咳や喘鳴、腹痛、下痢があった場合に疑われる。特に加熱が不十分な場合、例えば、焼き肉、ソーセージ、ハム、ハンバーガー、バーベキューといった調理法で起こりやすい。10〜20代に起こりやすい。加熱不十分な場合ほど起こりやすい。また、干し肉、燻製肉でも起こりやすい。2. bird-egg(鳥卵)症候群
セキセインコ、カナリア、オウムといった鳥を飼っている人が、生や不十分な加熱の卵(特に卵黄)を食べた直後に、口の痒み、唇や顔の腫れ、じんましん、鼻汁鼻詰まり、咳、呼吸困難、腹痛などが起こる。大人になってから急に卵アレルギーになった場合に疑われる。加熱不十分な卵で起きやすい。時に、鶏肉でも起こることがある。 - 外傷後破傷風ワクチン接種について
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破傷風は、土壌中の破傷風菌の感染によって起こります。転倒時の事故、土いじりによる受傷部位からの感染が多いといわれています。
1968(昭和43)年からは小児期の定期接種の中に含まれていますが、免疫を維持するには定期的な追加接種が必要です。特に1968(昭和43)年以前の生まれの方は免疫がありませんので、受傷時には接種が必要です。1. 基礎免疫のない(今までに破傷風ワクチンを3回以上接種したことのない)方の場合、
外傷時に傷の手当と破傷風ワクチン1回目を接種します。1カ月後に2回目、その半年から1年後に3回目を接種します。 外傷時の破傷風ワクチン接種は健康保険適応です。
2. 基礎免疫がある(今までに3回以上は破傷風ワクチン(DPT三種混合や四種混合ワクチン)を接種したことのある)方の場合、
外傷時に傷の手当てを受けます。最後の接種から10年以上(感染のリスクが高い場合5年以上)経っている場合は 破傷風ワクチンを1回追加接種します。