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小児間質性(びまん性)肺疾患      10/09/25

小児間質性(びまん性)肺疾患(chILD)は、肺胞および気道構造の根本的な変化を伴う、稀で多様な肺疾患群です。17歳未満の小児10万人あたり0.13例から15歳未満の小児10万人あたり16.2例の範囲です。診断の複雑さと希少性のため、正確な頻度は推定不可能です。しかし、chILDは、乳児期または2歳未満で全体の31~68%が罹患します。これらの疾患はまれではあるものの、死亡率は高く、サーファクタントタンパク質Bの遺伝子変異を持つ新生児では死亡率100%です。成人よりも一般的に、小児(特に乳児)の間質性肺疾患は、基礎にある発達障害または遺伝性疾患の結果として発生します。

2歳未満の患者におけるchILDの診断のためにはまず、嚢胞性線維症、先天性心疾患、気管支肺異形成症、肺感染症、誤嚥、および原発性繊毛運動不全症を含むいくつかの種類のびまん性肺疾患を除外する必要があります。これらの診断除外後、①呼吸器症状(咳、呼吸困難)、②呼吸器サイン(頻呼吸、ばち状指、または発育不全)、③低酸素血症、④胸部X線写真またはCTにおけるびまん性異常 の基準のうち少なくとも3つを満たす場合、chILD症候群と診断されます。
chILD症候群の診断が確定後、遺伝子スクリーニング、心エコー検査、高解像度CT(HRCT)などの非侵襲的診断検査の実施が推奨されます。低侵襲性検査を施行しても診断が確定せず、症状が持続(2か月以上)し、病状が進行性に悪化または生命を脅かす場合は、外科的生検が推奨されます。

chILD分類では、小児間質性(びまん性)肺疾患を、❶乳児期に多くみられる疾患、❷乳児期に特有でない疾患、❸分類不能な病態 の3つのグループに分類します。乳児期に多くみられる疾患は、さらに4つの主要カテゴリーに分類されます。①びまん性発達障害、②肺胞発育異常、③サーファクタント機能不全疾患および関連異常、④原因不明または原因が十分に解明されていない特定の疾患です。これらの各カテゴリーは、さらに複数の病理学的実体に細分されます。

Childhood Interstitial (Diffuse) Lung Disease: Pattern Recognition Approach to Diagnosis in Infants: AJR review