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肺CTのモザイクパターン(Mosaic attenuation pattern in lung)    10/03/25

モザイク・パターン
モザイク(吸収または減衰)パターンとは、吸収の異なる領域が肺実質全体に散在する肺のCTパターンです。これらの領域は明確な境界を持ち、二次肺小葉の境界、または二次肺小葉群の境界と一致します。モザイクパターンは、血管疾患、小気道疾患、および実質疾患によって引き起こされます。

❶ モザイクパターンを呈する血管疾患の主な例は、慢性肺血栓塞栓症による肺高血圧症です。この場合、低吸収領域は血流の低灌流領域に、高吸収領域は正常血管形成または灌流増加領域に相当します。慢性血栓塞栓症の診断に役立つ徴候には、肺動脈の陰影欠損、蛇行性肺動脈、および気管支動脈肥大があります。もう一つの重要な徴候は血流再配分であり、高吸収領域ではより顕著な血管新生が、低吸収領域では低流量が認められます。右室拡大、心室中隔弯曲、肺動脈拡張といった肺高血圧症の徴候も認められることがあります。

❷ 散在するすりガラス様陰影を特徴とする実質病変は、肺出血、ニューモシスチス肺炎、肺胞蛋白症など、様々な疾患で認められます。この場合、異常な実質はすりガラス様陰影を示す高吸収領域に対応し、低吸収領域は正常実質に対応します。小葉間隔壁肥厚の存在は、この可能性を裏付けます。

❸ モザイクパターンを呈する可能性のある主な末梢気道疾患は、細気管支炎(過敏性肺炎を含む)と気管支喘息です。これらの場合、基本的にエア・トラッピングが認められ、低吸収領域は異常領域に相当し、気管支または細気管支の部分的な閉塞によってエアが閉じ込められています。さらにエア・トラッピングによる含気の亢進に加えて低吸収域は低酸素性血管収縮の結果、血管の数と径が減少することがあります。同時に正常肺野の血流亢進による正常肺野濃度上昇を生じることになります。これらの領域は、呼気中に撮影した連続CTスキャンで最もよく描出されます。気管支壁の肥厚もしばしば観察され、拡張や粘液栓の有無は問いません。

したがって、実際のCT検査では、エア・トラッピングの有無と肺血管分布のパターンの評価という2つの主要な要素を考慮して、上記の原因を鑑別するる必要があります。肺血管分布の変化や動脈血流の再分布は認められないが、エア・トラッピングが認められた場合には、小気道障害の存在が考えられます。過敏性肺炎だけは実質性疾患と小気道疾患の両方の特徴を併せ持つが、エア・トラッピングの存在は一般に原発性実質性疾患は除外されます。(エア・トラッピングがあっても、20個以上の鳥かごがある部屋で寝ていたヒストリーがあれば、過敏性肺炎が考えられます。)
また、エア・トラッピングは実際には肺血管疾患では稀にしか起こらないため、原発性血管性疾患を示唆する他の所見がなければ、肺血管疾患も除外されます。呼気CTシーケンス中のモザイクパターンは、健常者でも認められます。吸気時のペア画像が正常で、モザイクパターンの範囲が軽微(二次肺小葉が3つ以下)であり、かつ関連する小気道異常の存在がなければ、生理的に見られる少量のモザイクパターンとすることで過剰診断を避けることができます。

Mosaic Attenuation: AJR
Mosaic attenuation:CONTINUING EDUCATION • J. bras. pneumol.