TOPICS

2型喘息の3種類             09/05/25

2型喘息には、①早発性アトピー性喘息、②遅発性好酸球性喘息、③アスピリン増悪性呼吸器疾患(AERD)の3つの型がある。

①早発性アトピー性喘息
早発性の別名「外因性」アレルギー性喘息は、典型的な喘息の表現型で、一般にイメージされている「小児喘息」のことである。この表現型の特徴は、総IgE値または特異的IgE値の上昇が認められることであり、アレルギー皮膚テスト陽性および血清特異的IgE値の上昇によって、②や③の2型非アトピー性喘息と区別される。

②遅発性好酸球性喘息
成人発症の2型喘息患者の一部は、分子メカニズム不明のステロイド抵抗性好酸球性表現型を示す。気道2型炎症は、喘息患者の約半数において吸入ステロイド療法では改善せず、これらの患者は高齢で、固定性気流閉塞を伴い、発症早期からより重症な形をとりやすい。患者の大多数は、喘息発症に先行して鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎を併発する。一般的に、吸入/経口ステロイド治療に抵抗性の顕著な血中および喀痰中の好酸球増多を特徴とする。
アトピー所見は一般的に認められないが、2型自然免疫の亢進が特徴である。黄色ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)特異的IgEの高発現とIL-5およびIgEの高値を示す慢性副鼻腔炎を伴う喘息型が典型的である。好酸球増多に加えて喀痰中好中球増多を呈することがあり、Th2/Th17相互作用が関与していることが示唆されている。

③アスピリン増悪性呼吸器疾患(AERD)
上記の遅発性好酸球性喘息の一部に、COX-1阻害薬誘発性呼吸器反応を有するものがある。
プロスタグランジンE2(PGE2)発現の喪失とその受容体の恒常的な機能低下があるため、グループ2自然リンパ球(ILC2)、肥満細胞、および好酸球の活性化が抑制されにくい。そしてそれらの細胞の中で、5-リポキシゲナーゼ(5-LOX)経路代謝が優先されるため、結果的に強力な気管支収縮因子であるロイコトリエンが恒常的に過剰産生される。アスピリンは強力なCOX-1/COX-2阻害剤であり、COX阻害は、アラキドン酸代謝をCOX経路から5-LOX経路へと移行させるため、気管支収縮因子であるロイコトリエンを異常産生させることになる。こうした脂質代謝異常の結果生まれるメディエーターによって、組織および血中に深刻な好酸球増多を引き起こす。最終的には、難治性鼻茸を伴う重篤な持続性上気道疾患および下気道疾患の形をとる。

Understanding Asthma Phenotypes, Endotypes, and Mechanisms of Disease