CDHR3、GSDMA、GSDMBという喘息リスク対立遺伝子は風邪の発症率の上昇と関連し、CDHR3遺伝子のリスク対立遺伝子はライノウイルス感染と関連していた。GSDMA、GSDMB、IKZF3、ZPBP2、ORMDL3遺伝子の喘息リスク対立遺伝子は、幼児期の喘鳴疾患(喘息様気管支炎という曖昧な病名で呼ばれる病態)と関連し、特にライノウイルス陽性の喘鳴疾患と関連していた。
このように、喘息リスク対立遺伝子は、乳幼児期における風邪の発症率の増加と関連し、ウイルス性疾患、特に最も頻度の高い風邪ウイルスであるライノウイルス誘発性喘鳴疾患のリスク増加と関連していた。このことは、乳幼児期に風邪に頻繁にかかりやすいことは、喘鳴疾患や喘息と遺伝的危険因子を共有している可能性を示唆している。
実際には、よく鼻風邪(そのほとんどはライノウイルスか、時にRSウイルスである)をひき、その度に聴診器で喘鳴が聞こえる子供の場合、その子は喘息である可能性が極めて高い。さらに、喘息リスク対立遺伝子の一部は、湿疹のそれと重なっているため、ツルツルお肌とは言えそうにない皮膚の場合には、喘息である可能性はより高まります。実際には、喘息、喘鳴が聞こえる時には、皮膚の状態が悪いことも多く、目の前に見えている皮膚の状態が気管支の内面の状態を物語っているものです。
乳幼児の喘息診断は慎重にとはいうものの、遺伝子解析の知識背景を元にすれば、1〜2度の診察で喘息診断が下せることは、乳幼児喘息に限れば、不思議でも何でもありません。(大人で発症する喘息は、幼児の喘息とは喘息リスク対立遺伝子が異なっており、さらに遺伝子以外の寄与が大きいため、喘息診断はさほど容易ではありません。)
Genetic Architectures of Childhood- and Adult-Onset Asthma Are Partly Distinct