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2型喘息はアトピー型遺伝子異常が原因   09/05/25

好酸球性気道炎症は喘息において最も影響力のある病態の一つであり、2型喘息診断のゴールドスタンダード・バイオマーカーは誘発喀痰中の好酸球3%以上とされている。2型喘息は典型的には好酸球と関連しているが、好酸球の存在自体が病態形成に最も影響力がある病原性細胞型であるわけではなく、好酸球を除去しても2型喘息が治るわけではない。好酸球は2型喘息の表現マーカーに過ぎない。

2型喘息の典型である早発性アトピー型喘息は、アレルギーが原因ではなく、むしろ上皮形成に関与する遺伝子異常(皮膚や気管支壁という体を覆うバリアの組成になる線維形成経路を活性化する遺伝子の異常)が原因であることが全ゲノム関連研究(GWAS)などによって示されている。

呼吸器ウイルス(特にライノウイルス)は喘息増悪の最も一般的な誘因であるが、2型喘息はウイルス感染により特に増悪しやすい。最近の研究では、呼吸器ウイルス感染の状況下で、局所の自然抗ウイルス免疫応答の欠陥と同時に、Th2サイ​​トカインの産生増加を伴うプロT2応答が亢進しやすいことが示されている。さらに、喘息患者では自然免疫(インターフェロンシグナル伝達経路)の欠陥や肺胞上皮細胞のインターフェロン産生不足が元々あるためウイルス感受性が高くなっている、つまり風邪ウイルスに罹患しやすい免疫学的欠陥が元々ある。アレルギー性喘息で上昇しているIgEはIgE/FcεR1という架橋を形成し、ウイルス誘導性の形質細胞様樹状細胞(pDC)におけるインターフェロン-α応答を阻害することが示されている。

さらに、重症喘息になる原因として、気道上皮におけるタイトジャンクションの形成に関与するカドヘリン関連ファミリーメンバー3(CDHR3)遺伝子の異常が示されている。ライノウイルスCは、細胞侵入の受容体として宿主上皮CDHR3に依存し、それによって既に脆弱な上皮バリアにおけるタイトジャンクションを減少させる。

さらに最近、慢性アレルギー性喘息の症状が、神経刺激因子と関連していることが注目されている。神経成長因子(NGF)の高発現により、好酸球の活性、アレルゲンを介した好酸球炎症、ひいては気道過敏性を増強することが示されている。

Understanding Asthma Phenotypes, Endotypes, and Mechanisms of Disease