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共細菌感染している呼吸器ウイルス感染症は結構多い      08/03/25

呼吸器ウイルスと細菌の同時感染は、呼吸器疾患のある小児において頻繁に検出される。ウイルスと細菌の同時感染率は20~50%と報告から66~77%という高い割合の報告まであるが、いずれにせよ呼吸器ウイルス単独感染状態という教科書的でしかない理想と現実には大変なギャップがある。元々ウイルスと細菌はどちらも呼吸器系にマイクロバイオームとして常在感染しているため、それらの検出は感染ではなく定着を反映している可能性があるため、同時感染に関与する個々のウイルスと細菌の相対的な重要性を判断することは困難とも言えるが、同時に、教科書的に一次感染とか二次感染という区別をすること自体が人為的なバイアス操作であり、(臨床医学にはよく見られることだけれども)自然現象を都合よく理解しようとするドグマ的思考に他ならない。

1918年の「スペインかぜ」パンデミックでは5000万人以上が死亡しましたが、そのほとんどはインフルエンザ単独による直接的な原因ではなく、二次的な細菌性肺炎が原因でした。感染患者の痰、肺、血液サンプルで最も頻繁に検出された微生物はS. pneumoniae、H. influenzae、Streptococcus pyogenes、S. aureusであり、インフルエンザウイルスが病原細菌と相乗的に作用し、疾患および死亡の発生率を増加させたと考えられていました。これらの知見は、1957年の「アジアかぜ」と1968年の「香港かぜ」のパンデミックのデータによって裏付けられ、死亡率の上昇と細菌性肺炎の発生率の上昇が関連していることを示していました。 1957年と1968年のパンデミックにおいて、1918年と比較して死亡者数が少なかった主な要因は、二次的な細菌感染に有効な抗生物質の利用可能性にあると考えられています。2009年のH1N1インフルエンザウイルスによる「豚インフルエンザ」パンデミックでは、致死的な肺炎症例において細菌の重複感染が頻繁に報告され、最も多く検出された細菌はS. pneumoniaeでした。

Viral-Bacterial Interactions in Childhood Respiratory Tract Infections: Nature